MonoLabo

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#2_“片想い”を抱いて会いに行きました♡

化粧品パッケージを通して世の中の女性たちに幸福を届けている、デザイナーの田中さん。

田中さんもご参加の第11回パッケージ幸福論「愛しのパッケージ」(2019.11.17―12.1表参道にて開催)の展示を拝見いたしまして、私たち一同、ときめきました!

『「造形物」によって世の中に「楽しい!」と思ってもらったり「嬉しい!」と思ってもらったり「欲しい!捨てたくない」とか「なるほど!」「かわいい!」と感じてもらうこと…「造作物」に触れた人の心をちょっとだけプラスの方向へと導くことができるんじゃないか… 』(展示会ディレクター 中島信也氏 引用)

僭越ながら、世の中にモノというツールで五感を通してワクワクや感動を届けたい、その価値を伝えたい、というMonoLaboと奇遇にも同一の想い!私たちは早速、パッケージでときめきを生み出す田中さんに会いに行ってきました。

【プロフィール】
田中 健一​ (Tanaka Ken-ichi)
コトリデザインスタンダード代表取締役  | アートディレクター | デザイナー |
1974年福岡県生まれ。東京藝術大学美術学部工芸科卒業後、株式会社コーセーに入社。
様々なブランドのパッケージデザインを行い、2012年アンファー株式会社に入社。スカルプDシリーズの一貫したブランディングを行う。
2016年より株式会社コトリデザインスタンダードを設立。
2005年見本帖本店「針葉樹紙のパッケージデザイン展」。
2008年から「中島信也ディレクションパッケージ幸福論展」、11年目。
​2017年から桑沢デザイン研究所夜間部非常勤講師。



人を幸せにする、「ときめき」の探し方。

― 田中さんは主に化粧品のパッケージデザインをメインにお仕事されていますが、パッケージデザインはもちろん、ブランディング・広告・店頭什器など商品を取り巻く全てのデザインを手掛けられていて女性向けの商品のモノづくりにおいて大切にされている事について教えてください。

女性の使う物、スキンケア用品、メイク用品のパッケージって残念ながら最終的には捨てられるモノになりますが、なかには手元にとっておきたいモノってありますよね。

― 素敵なデザインのお菓子の箱とか缶とかたくさん持っています!かわいいモノってついつい集めてしまいます

自分もモノが大好きなので分かるんですが、例えば朝、パッケージにふれて元気になるような気分があがるきっかけになればいいなって思っています。モノが現在溢れていて、新商品もたくさんある中で、ぱっと見の「ときめき」って大事だと思うんです。一瞬で目に付くかどうかが魅力に繋がっていくと思ってます。

インスピレーションでこれいいよねって、思えるようなデザインを作るように心掛けています。それに、「捨てたくないモノ」をつくることで、環境問題に繋がるのではと考えています。

― 一瞬のときめき♡女性はときめき大好きです!それが世の中のためになるっていいですね。女性がときめくモノを作るために、どのような情報を見ていますか。

とにかく情報には敏感ですね。雑誌だったり、ネットの記事だったり、ファッション情報サイトをみたり、女性向けバッグや洋服はひと通りチェックしていますね。あとは使わないけど欲しい!と思う物とか。百貨店なども見に行くのですが、やや行きにくい時もあるので女性だったらいいのにって思いますよ。(笑)

そして単に自分が欲しいモノに出会ったらすぐ携帯で記録しています。情報ストックは大事です。あとは日常的にInstagramやTwitterもチェックもしていますね。

― 公式な発信よりも個人のInstagramやTwitterはスピードが早いですよね。感度の高い情報が一番上に表示されたりしますし。

そうですね。ちゃんとメーカーもニュースをアップしていますが、会社が発信しているモノって埋もれがち。その点InstagramやTwitterって自分と感度が似た人がいいねしたモノは、結局いいモノにたどり着きますね。

― 確かに、感覚の似たもの同士の意見や口コミって結構信用していますし、参考にしてモノを買っちゃいます!田中さんはリサーチして出会ったモノは収集していますか?

綺麗な色や質感の物は収集していますね。無いと伝わらないし、あると話が早い

― 女性向け商材って特にマテリアルへのこだわりが強いですよね。

そうですね。それとパッケージデザインの仕事って、見本が特に必要なんです。この色はどういう質感かって、伝えなきゃいけない。そのために商品でこういう色イイなってモノは集めるようにしています。

人に伝えたい時、実物をみせないと伝わらない事って多いから見本は大事です。特に光沢感やイメージの共有は実物が一番ですよね。

― マテリアルの知識が欲しいし、絶対気になりますよね。すぐ触ったり裏を見たりしちゃいます。

 

業界のプロフェッショナル。現場の悩みを知っているからこそ、その先を見据えた提案ができる。

― 提案のプロセスについて伺いたいのですが、どのように組み立てていくのですか。

仕事のやり方としては、まずは企画のコンセプトを検討し、デザインの方向性を考えながらデザイン案を考えていく感じですね。

その人たちをターゲットにした雑誌を見たり、好まれているファッションブランドも情報収集しながら、化粧品に落とし込んだときにいいなと思うイメージを集めていきます。

女性向け商品はファッションと結びついていることが多いので、今だと2021年のトレンド情報が出ているので、コンセプトキーワードは今回のお題に対してはどのコンセプトが合っているのかも考えます。

エコでもサスティナビリティでもなく、次はなんだろうとか。ただそれを考えているブランドなのか、そんなの関係ないブランドなのか。

例えば同じ自然派化粧品でも一方は環境に敏感だったり、一方は謡っていなかったり。同じ企画でも、高級にふるのか、かわいい方向にふるのか、メディカルの方向にふるのか、なども見極めています。

実はそういったコンセプトって、メーカーも悩んでるんですよね。ストーリーが決まっているモノってあまりないんです。そこから考えてます。

一つの商品でお客様がもっとファンになってくれるストーリー作り。

それが一番気にしていることですかね。そして自分が欲しいと思うかどうか。自分がときめくかどうか。これいけるって思ったモノって、絶対お客様に伝わると思います。

― プレゼンの温度や、気持ちが企画に入っているかストーリーが良いモノは熱量が伝わる。モノを作っている方がどこまでお客さまのことを考えているかどうか。その人たちのことを考えて、これを出したい!と思えるか。納得です。

化粧品メーカーにいた頃、数少ない提案に対してこれしかないの?って思った記憶があるんですよ。この中にない、と思われたら一瞬で終わってしまうんですよね。

もしコンペがだめでもとことん本気で考えてくれた事が伝わるだけで次につながると思います。提案の1つ1つのストーリーを考えるので出す分、苦労はありますけど。

― メーカーで提案を受ける側からの経験値が活きているんですね!田中さんのプレゼンってどんなスタイルですか。

昔はデザインコンセプトを考えてまとめていったんですが、今は企画を受けて最初に思ったこと、普通に考えるとこんな、更にこういう方向で考えてみました、っていう考え方を述べていくだけで、相手も聞きやすいんですね。

そして、実はですね、って全然違う方向性も考えてみました!っていうところまで振り幅がみせられたら、まだあるんですか!って思わせる。

それと振り幅があるときは、推しはあえて言わないです。この中だったらこれだと思います、程度。

― デザイナーさんって、デザインに語らせる人、無口な人が多いのかなって思ってました!相手と対話するプレゼン、参考になります!

デザインを頼まれて、デザインで返すことも大事ですが、最終的には人間力だと思っていて。

この人と仕事がしたいと思われる事が理想ですね。

― お客さんが言葉にできていないけど言いたい事=インサイトを見つけて、アウトプットできたら最高ですよね。

 

いい提案とは、自分の心が動くかどうか。どれだけ顧客に寄り添ったストーリーが描けるか。

ー田中さんもモノが大好きだと思うのですが、ノベルティも好きですか?

もちろん好きです。最近気になったのはMaison Margiela(マルジェラ)のポーチとか。マルジェラは枕バッグ(=枕のような新アイコンのバッグ)をだしているんですよ。で、ノベルティはそのダウンのような中綿入りのポーチ。雑誌付録ですよ。すごいですね。ノベルティって高級ブランドのノベルティだとしてもそこに高級感は求めていない、その時だけの高揚感。普通の物販商品で出せないモノだからこそ、遊べたりするんじゃないですか。

― ファッションブランドさんは普段はできない冒険したいモノをノベルティで取り入れたりしますよね。ノベルティの方が瞬発的なパワーを込められると思います。通常は売っていないラインナップのモノを展開することで、ライフスタイルや世界観を飾れたり提案できたりしますよね。

― 最近の生活スタイルとしてエコ・エシカル消費が話題ですが、パッケージデザインにおいてはどうですか?

お客様の要望としてFSC認証の紙を使いたいとか、エコな樹脂をとかありますが、通常パッケージより価格が高くなってしまう為、ブランドとしてどこまで本気でやるのかですね。

お客さんが使いたいモノがあれば探しますが、デザインではあまり意識してないです。

あと、いつか出てくるだろうなって思っていたのが、紙パックパッケージの化粧品です。大手メーカーさんから登場したんです!マットな素材で優しい肌ざわりの紙製の物も徐々に受け入れられてきているのかなと思います。

受け手側の感度の変化によって、エコ・エシカルの感覚は注目ですよね。

― ひとつ気になったのですが、こちらはとても洗練された素敵な事務所なのですがこれまで集めたモノは捨てずに持っているんですか。

ありますよ。モノ収集の人の癖って捨てられないんですよ(笑)。あと最近のメルカリって便利ですよね。何十年前のモノが手に入ったりしますし!自分が持っていない実績品もあったり(笑)、メルカリの登場ですごく助かっています。

― わかります!ノベルティの過去事例の実績研究にもメルカリはとっても役立っています。いいモノは加工が凝っているなぁ~とか。モノを捨てないのもエコですよね!

― 最後に、今後の野望(やりたいことや方向性)について聞かせてください。

展覧会も一緒ですけど、パッケージは夢があると思うので、手に取った人の人生がほんの少し幸せになるようなモノを作りたいですね。

パッケージって毎年リニューアルするモノもあれば、リニューアルしないモノもあります。仕事にはなりませんが(笑)、リニューアルしたくないと思えるロングライフデザインも目標ですね。

◆◇◆◇◆◇◆

商品パッケージを通して、人を幸せにするデザインの仕事。田中さんが創る「人の心に寄り添ったあたたかいデザイン」が生まれる過程と優しいお人柄をのぞき見できました。さらに捨てられない・手元に持っておきたいモノづくりへのヒントをいただけました。
商品パッケージとノベルティは、使われ方と目的は異なりますが、受け取った人が感じる瞬間の「驚き」や「喜び」を創るという意味では同じモノづくり。その心を動かすストーリーをどれだけ本気になって考えられるか、それがいいモノづくりの原点だと思います。

ノベルティにも夢がある!

 

Writing by Kashiwa

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