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#1_大村卓さんと、企業のノベルティを勝手に作りたい!

大村卓さんは、ユニークな視点をもちつつ、数々の洗練されたプロダクトを生み出しているプロダクトデザイナー。私たちはTwitterをきっかけに大村さんを知り、モノの面白さを追求しながら企業ロゴをプロダクトに調理する職人芸に惚れ込み、今回のインタビューが実現しました。大村さんの完成度の高いプロダクトの世界感はどうやってつくられるのか。大村さんの考える、モノづくり「面白い」の感覚についてお話を伺いました。

【プロフィール】

大村 卓(Taku Omura)

プロダクトデザイナー。設計事務所、建築金物メーカーを経て2009年oodesignを設立、おもに生活雑貨や文具など身の回りのもののデザイン、自社オリジナル製品開発などに取り組んでいる。だんだんユルいものへの興味も隠しきれなくなり、製品化には至らないようなアイデアの断片をしばしばTwitterで発信している。
|http://www.oodesign.jp | @trialanderror50

▼大村卓さんの「勝手にノベルティシリーズのまとめ」

 

「こんなモノがあったら?」を即、カタチにする習慣

― アイデアはどのように生まれるのですか。

こんなものがあったら便利かな面白いかな、思ったら手を動かして作ってみます。そういうことが日常生活の中に含まれているので「アイデアを生み出そう」という意識はないですね。

― 手を動かすと新たな発見がありますよね。

ありますよね。たいてい頭の中でイメージしたものをそのまま形に落とすと、ちっとも面白くなかったりとか、うまく機能しなかったりとか。そんな発見がよくあります。

― その感覚、とてもよくわかります! 

そもそも頭のなかにぼんやり思い描いているものを、形にしてアウトプットする場としてTwitterをはじめたんです。ちょっとした発見って自分の中にため込みがち。そういうものを見える形にして、外に出したらどうなるだろう。と思ったのがきっかけです。製品化までは行かないような、ちょっとした発見やアイデアの気づきが常にあるのでそういったことをTwitterで発信というか垂れ流しています。

Twitterをはじめたきっかけがそこにあったのですね。企業ロゴを使ったアイデアはどのように妄想するんですか。

一番はじめは、キングジムのファイルを見ていた時に、妄想したんですよ。

 

この四角のロゴを見ていたときに、もともとここに埋め込まれた立方体がにゅっと飛び出してくるんじゃないかとイメージしました。キングジムさんは文具メーカーだから、これはペーパーウェイトかな、とか。そんな感じです。

それまでも、Twitterはやっていたんですけど、フォロワーは200~300人くらいで、大きな反応があるわけでもなく続けていました。そんな中、キングジムの投稿がそれまでなかったくらいの反響があったんです。それで味を占めました。笑。こういうので反応があるのかと。これならいくらでもできるなと。

― それはもう、手ごたえあるニーズをとらえたわけですね。

しかし当時は企業のロゴを使ったものを勝手に投稿してるということが、本業に影響することを懸念して匿名でツイートしていました。その次に反響があったのは、マクドナルドの事例です。

― 誰もが知っているロゴですよね。

そうですね。そもそも「それってなんのロゴ?」となってしまったらそれをノベルティ化しても伝わらないので。それなりに反応があったので連載的にやってみようかと思いました。そんなのを続けていって、AdobeさんのPDFハンガーを出したら、それまでにないような反応があって。当時、15,000くらいのいいねがつきました。それでフォロワーさんが急激に増えました。

― それはすごい!

それから話がどんどん大きくなって、Adobeの方がツイートを見つけて、もし欲しい人がいるようなら本当にプロダクト化しませんか、という話になりました。

 

― その経緯を追ったお話自体も、リツイートがすごかったですよね!

そうなんです。その反応を受けて会社に呼ばれて。今のAdobeのハンガーが形になりました。

▼Adobe Blog :Adobeのノベルティを勝手に作ってたらAdobeから連絡が来た件
https://blogs.adobe.com/japan/serialization/dtp-acrobat-hanger-column-takuomura-01/

― 記事も読ませていただき、途中、困難にぶつかる部分にすごく共感しました。

Adobeさんの製品はプロダクト系ではない人も多く使っているので、かなり砕けた感じでわかりやすく書きました。

リアリティがあってよかったです。モノづくりには毎回違う壁が立ちはだかることは、わたしたちも普段モノづくりをしていて奥が深いと思うところです。

 

自分が得意かつ、他がやっていない思考を追求

― 大村さんが現在のお仕事をされるまでの経緯を教えてください。

もともと建築設計をしていました。でももうちょっと自分で作った!と感じられるサイズだったり、ものづくりに近いところでデザインしたいなと考えるようになりました。そこで建築設計事務所から、建築に関わるプロダクトを作っている会社に転職しました。しかし、建築関係以外のものもデザインしたくなってきて、今の事務所を自分で始めました。

ただ振り返って思うのは、10年前の立ち上げ当時は、デザイナーという言葉にひっぱられて、格好の付くちゃんとしたデザインをすることを漠然と目指していたように思います。

しかしながら、そっちの方向性でやっている人ってたくさんいるし、自分より上手い人もたくさんいるのでそこで勝負しても仕方ないのではと思うようになりました。そこで、自分が考えやすい、得意なものってないかな、ほかの人がやっていないことってなんだろう、と考えました。見た目は一旦おいておき、なにか発見があるものとかアイデアが盛り込まれているものとかそういうものを前面に押し出したような何かができないかなと。

その一端が「企業のロゴを勝手に考える」に盛り込まれているんですね。アイデアはどのように思考し整理するのですか。

お題は日常でもいいし与えられた課題でもいいですけど、その回答を自分なりに仮説づけます。それを絵に描く試作してみます。それから改めてそれが問いに対する回答になっているか、いままでにないものか、あったらほしいか。そういう多方向から判断していきます。あとは、人に見せて反応を見ますね。

― どなたに見せるんですか?

例えばうちの妻とか。妻はデザインとは関係ない仕事をしています。良くも悪くもすごく普通の感覚の持ち主なんですね。笑。妻に「こんなの考えたんだけど、どう?」って聞くと「えっ、そんなのだれが買うの?いる?」とかそういう話は結構あります。笑。まあ傷付きますけど、これが一般の評価なんだって。そういう意見も参考にしながらブラッシュアップしていく感じですかね。

― いったん他人の目を入れるのは大事ですよね。ひらめきはどのように記録しているのですか。

具体的なビジュアルとしてのイメージがぼんやりと浮かんでいるときは軽くスケッチして画像としてストックします。見た目が思い浮かんでいないときは、キーワードをメモしてます。

思考の整理方法やブラッシュアップの手法、とても勉強になります。わたしたちSP業界でいうノベルティとは、顧客のプロモーションに伝えたいことがあって、その思いを込めた、買いを促進するツール、と捉えているのですが、アイデアを出す、顧客提案=ブラッシュアップする作業は似ているものを感じます。

 

実現性にとらわれず、企業らしさを前面に押し出したプロダクトを思考する。

― 「販売品」と、「ノベルティ」について、モノとしての違いを大村さんは、どう考えていますか。

その「もの」に対してお金を出すか出さないか、かと思います。ノベルティはタダだからもらうけど、お金払ってないぶん愛着もない。ちょっともらって、しばらくしたらどっか行っちゃうか、捨てちゃうか。ってところが大いにあると思います。

Twitterを始めて、ノベルティのことを考えるようになったとき、実現できるかできないか別として、その企業らしさが前面に押し出されているようなものをつくりたいと思うようになりました。ものをあげるからうちの会社の名前覚えてね、じゃない、もうちょっとなにか踏み込んだ伝え方ができないのかなと 

― なるほど、本当にそうだと思います。
予算を割いてせっかくモノをつくるのだから、良い伝え方だったりここでしかもらえない特別感だったり、そんな想いを込めたわくわくするノベルティをわたしたちも日々考えています。

そうですね。Twitterをきっかけに企業様からお話をいただくことも増えました。

でも企業らしさとデザインが結びついていないものも場合によってはありなのかもしれません。AdobeのハンガーもAdobeという会社には全く関係ないですけど反響は大きかったですからね。

ちゃんとそこを考えた、製品化シリーズがあったら面白いですね。ノベルティについて語ると、ついつい長くなってしまいますが、企業側の思いは熱くても受け取る側からはそうでもないのがノベルティの性。押し付けになってしまうかもしれないですが、一度はコミュニケーションツールとして役目を果たせば、目的は果たしているのかなとも思いました。

― ちなみにこういったノベルティのお仕事を今後一緒に取り組んでいくのは可能でしょうか。

勝手に企業のノベルティを作るのは得意なので、妄想を形にできたら面白いかもしれませんね。

ぜひ、先ほどお話のあった、企業らしさが全面に押し出されているようなモノづくり、もうちょっとなにか踏み込んだ伝え方の部分も実現していきたいです!

 

◆◇◆◇◆◇◆

ノベルティというものを、独自のアイデアカタチにし発信されていた大村さんに念願叶ってのインタビューが実現しました!
面白いモノとはそもそも何だろう?を考えてみると、私たちが感じる率直な「何コレ感」「やられた感」のような、発見があると思います。
そんなモノならではの面白さ具現化の背景や、ノベルティというモノのもつ機能について、刺激と共感が盛りだくさん!のお話を伺うことができました。

モノってやっぱり面白い!アイデアを形にするって、面白い!そんな思いを改めて感じ、機能的で発見のあるわくわくするモノ作りをしていきたいと思います!

大村さんと、“企業ノベルティを一緒に”作ってみませんか?

 

Writing by Terunuma

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